層雲峡ビジターセンター
2009年12月
雪の結晶
雪の結晶 2009年12月3日 雪 -4℃(層雲峡13:00)

 夜半からはらはらと降り続いていた雪が止み、かすみのような霧が渓谷に立ち込めています。降り積もった雪はふわふわで、顔を近づければその熱で解け出してしまいそうです。トドマツの葉の上は様々な形をした雪の結晶でいっぱいです。
 ところで、雪の結晶というものは、何か顕微鏡のようなもので覗かないと見えないものだと思っている方が意外と少なくないようで、観察会などで紹介すると驚かれることがあります。綺麗な雪の結晶が見られる条件はマイナス10℃以下で風が弱いこと。湿度によっても形は千差万別、みんな違っています。結晶の研究の場ともなった大雪山系は、北海道でもいちばん美しい雪の結晶が降る場所といわれています。ぜひ顔を近づけて観察してみてください。

 写真:雪の結晶(紅葉谷 12/3)
霜凪
霜の華 2009年12月5日 晴 −9℃(11:30)

 しんと冷たく静まり返った昨日の月夜は、絶好の霜日和を想像させてくれました。こんな日は霜凪(しもなぎ)という言葉がぴったりです。まるでおとぎの国にいるみたい〜とロマンチックな気分にどっぷり浸かりつつも、流れる鼻水は凍りそう。寒い寒い。今朝はマイナス19℃まで下がりました。

 写真:ススキの穂についた霜の華(12/5)
雨 降る
ツルウメモドキの実 2009年12月6日 雪後曇一時雨 0℃(17:00)

 朝から町は雨。たぶん層雲峡も雪は積もっていないだろうと甘く見たのが大間違いでした。出勤してびっくり。玄関が激しい吹き溜まりですっかり埋まっているではありませんか。しかも投げるにも難儀なべとべと雪です。除雪に1時間を要してしまいました。ただスキー場にとってはいい降雪となったようです。ロープウェイの駐車場は満車。今日も朝から大勢のスキーヤー達が新雪を楽しんでいました。
 午後は気温が上がり、層雲峡でも一時雨になりました。昨日の冷え込みが嘘のようです。19℃の温度差に体が追いつきません。凍り付いていたツルウメモドキの実も、今日は滴をぽたぽたと落としていました。

 写真:ツルウメモドキの実(層雲峡 12/6)
テンが来た
2009年12月10日 晴れ −6℃(12:00)

 時々、閉館後のセンターを訪ねてくるお客様がいます。昨晩は裏山からエゾクロテンが遊びにやって来ました。足跡は建物をぐるっと周り、表玄関の前で行ったり来たり。パカッと開いた5本の指跡、軽いフットワークはテンに間違いありません。
 ただ残念なことに、主に夜行性のテンは、日の明るい間はめったに人前に顔を出してくれません。出会えたらラッキー!でも、どうしても会いたいというならば方法はあります。単純なことです。眠らずに一晩中窓の外をにらんでいればいいのです。ただ少しばかりの根気が必要ですが・・・。

 写真:エゾクロテンの走行足跡(12/10)
氷瀑
銀河、流星の滝 2009年12月13日 雪 −7℃(16:00)

 氷点下20℃にシバレた朝、層雲峡の名瀑布、流星の滝と銀河の滝もシバレていました。
 どれが滝?と思われるかもしれませんが、右のV字から流れ落ちているのが流星の滝、左のV字から流れ落ちているの銀河の滝です。銀河の滝はほぼ結氷。流星の滝は水量が多い為、真冬でも全面結氷することはなく、その周りだけが凍ります。売店の後ろから双瀑台へ上がる遊歩道があり、ここから両方の滝を一緒に望むことができ、なかなか迫力があります。
 ふたつの滝は大雪山に源を発します。真冬の大雪山は時に氷点下30℃を超えるほどの寒さになります。全てが凍りつくような雪と氷の世界の中で、川は生き物のようにとうとうと流れ続けます。そして、それが一滴の雪解け水から始まると思うと、私にとっては気が遠くなるようなことで、またひとつ自然の仕事に感嘆するのでした。

 写真:銀河、流星の滝(後ろに黒岳)12/11
エゾモモンガの・・・
2009年12月16日 晴れ −10℃(15:00)

 通い慣れた場所なのに、雪の下の笹がバネのように跳ね上がり、思うように進めません。そんな苦労をしても訪ねたのはエゾモモンガの棲む森です。夏の間は笹藪に阻まれ、到底訪ねることはできません。今回は8ヶ月ぶりの訪問です。エゾモモンガは今年もここに棲んでいるだろうか?ドキドキしながらトドマツの樹の下を探すと、糸のこぎりのような細かい齧り痕の付いた葉がたくさん落ちていました。エゾモモンガ特有の食痕です。居た居た・・・。思わず顔に笑みが浮かびます。
 積雪期はエゾモモンガの存在を知るにはうってつけの季節です。雪の上に、樹の芽やトドマツの葉が不自然なほどに沢山落ちていたら、それはエゾモモンガの食事痕かもしれません。また、樹の幹や周りに残された米粒のような彼等の糞は、白い雪の上でよく目立ちます。たとえ姿が見えなくても、痕跡を見つけただけで喜びは十分です。想像する楽しさがあるからです。

 1月から冬の観察会、スノーシュートレッキングが始まります。観察会ではこうした動物たちの痕跡も探します。皆様のご参加お待ちしております。

 写真:エゾモモンガのトドマツの食痕(層雲峡 12/16)
キャンドル作り
キャンドル作り 2009年12月19日 曇 −8℃(13:00)

 今日は層雲峡子供会のクリスマスパーティーが開かれ、センターでクリスマスキャンドル作りを行いました。今回はパラフィンをお菓子の型に流し込んで作ったものと、蜜蝋を使ったものと2種類を作成しました。蜜蝋のほうは、溶かした蜜蝋に芯となる紐を繰り返し浸し、好みの太さにしていくのですが、十人十色、それぞれ個性があってとても味わいがあります。なかにはまるでエビフライのようなものも・・・。蜜蝋の甘い匂いが漂う賑やかなひとときでした。

 写真:蜜蝋キャンドル(12/19)
続・テンが来た
エゾクロテン 2009年12月23日 曇 −5℃(13:30)

 夕方仕事から帰り、家の除雪を済ませくつろいでいると、ガサゴソと何かが壁を伝うような音が聞こえてきました。屋根の雪が落ちてきたのか、それともノネズミかと別に気にも留めなかったのですが、翌日その正体が明らかになり思いがけず興奮しました。
 やはり同じような時間帯でした。今度はガリガリと玄関のドアを引っ掻くような音がするので、不思議に思い灯りを点けるとそこにいたのはエゾクロテン。 「!!!」 窓の外と内で目が合い、テンはちょこんと後肢で立ち上がると素早く走り去ってしまいました。
 エゾクロテンは樹に依存した生活をし、北海道の森林に広く生息しますが、用心深く滅多に人前に姿を見せることはありません。その為、生態や行動についてまだわからないことが多く、謎めいた動物です。足跡は森を縫うようにしてそこかしこに見つけられるのに、姿は見えない。だから余計に会いたい。そう、テンはそんないきものなのです。
 おまけがもうひとつ。夜中、布団に入り眠りこけていると、またもやガサゴソ動き回る音がします。寝ぼけ眼で目をやると、窓枠にテンが座っているではありませんか。でもここは2階。垂直な壁をどうやって登ってこれたものかとびっくりしましたが、木登りの得意なテンのことですからこれくらいはお手の物なのでしょう。翌朝庭はテンの足跡でいっぱいでした。

 写真:エゾクロテン(12/22)
知床連山
知床連山 2009年12月27日 雪後晴 −5℃(13:00)

 昨日、晴れ間を縫って黒岳へ上がりました。すでに先発隊の足跡が付けられていたので、その分稼ぐことが出来たとはいえ、膝上までの吹き溜まりラッセル当たり前、アイスバーンの斜面ありで、慎重に進みました。
 山頂からは羅臼岳を始めとする知床連山がはっきり見えました。条件が良ければ望むことはできるのですが、こんなに近くに見えたのは初めてです。よほど空気が澄んでいたのでしょう。
 ところで、遠くのものが近くに見えるときは天気は下り坂といいます。気圧の谷が接近してくると、大気の状態が不安定になって大気の対流が起こります。その為、溜まっていた靄などが拡散されて薄くなり、視界が利くようになるからです。
 ポン黒岳からのっぺりと雪を被った北鎮岳を見渡すと、眼下に石室の屋根が小さく見えました。山頂から稜線一帯はアイスバーン状態でガッチガチ。北鎮岳まで一気に行けそうな錯覚を起こします。けれど、天候の悪化は証明済み。頭上にはいかにも怪しい高層雲が広がり始めました。知床連峰をお土産に、雲ノ平で引き返すことにしました。

 写真:知床連山(右端が羅臼岳、左端が硫黄山)
                 12/26
コアカゲラ
2009年12月30日 晴れ −3℃

 シマエナガの群れに混じって、見かけない鳥の姿がありました。枯れ木をコツコツ突付きながら飛び回り、キツツキには間違いないのですが、アカゲラにしては小さいし、コゲラであれば頭のてっぺんは赤くない・・・。
 頭の中の図鑑をペラペラめくり、コアカゲラだと思い当たりました。層雲峡の周辺で見るのは初めてです。コアカゲラはおもに道東に分布し、他の地域では稀な鳥です。年の瀬に幸運でした。教えてくれたシマエナガにも感謝しなければなりません。冬のバードウォッチングにまた楽しみが増えました。

【休館日のご案内】
 明日より年末年始休館となります。新年は6日より通常開館いたします。皆様良いお年をお迎えください。  

 写真:コアカゲラ・雄
    (層雲峡 12/29)